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10月23日配信 養殖海苔の種付けと、海を越えた研究者の絆について

有明海で、養殖ノリの網を張り込む「種付け」が解禁され、

海苔の胞子を蓄えた牡蠣殻をつるした網を海に立てられた養殖場の支柱に

広げたというお話しに合わせ、海苔の養殖について話させていただきました。

 

海苔は、古くから養殖されていたのですが、

実は昭和の始めまで、夏の間の生態が「謎」とされていました。

海苔は夏をどう過ごすのかを発見したのが、英国の藻類学者の女性でした。

その彼女は、

海の開発が進み天然海苔から養殖海苔へと生産の舵を切らねばならなかった日本の

悩みを知っており、知り合いの藻類学者に夏の海苔の生態を伝えました。

その生態に関する発見は、ネイチャーに論文が載るほど大きなものでした。

 

英国と日本。

遠い異国で、連絡手段も不便で少ない中、同じ藻類の研究をしているとはいえ

親交があったというのは素晴らしい奇跡といえるのではないでしょうか。

 

情報を託された研究者は、牡蠣の人工採苗の研究をしていた研究者にそれを伝え、

人工採苗の研究をしていた研究者賛同者と共に私財を投じて海苔の人工採苗の

研究を行い、海苔の夏の生態が発見された4年後に成功しました。

 

研究者は特許を取らず、全国にノリ養殖が広まりました

もし、この何か1つのことが欠けていたら、

私達が今日のように海苔を気軽に食卓で食べることはできなかったのかもしれません。

だって、考えてみてください。

 

海苔は、夏の生態が不明だったうえ、

お歳暮でもやり取りされるようなものです。

実のところ、それだけ貴重品だったのだと考えていいと思います。

 

海苔の人工採苗による養殖が全国に先駆けて始まった有明海で、

今も牡蠣の殻が利用されているのは、過去の研究者への感謝の念が

こっそり隠れているんじゃないかな?なんて私は感じたりします。

 

この、海苔の人工採苗に成功したころ、

御木本幸吉も真珠の世界初の養殖に成功しています。

この数年は、日本の養殖の世界で大きな発見が続いた時代なのでしょうね。

 


国土技術政策総合研究所による「海岸管理の歴史的変遷」

http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0619pdf/ks061906.pdf